ShiraiMusicのドラムセットを発表します。

以前、発表したシライミュージックのドラムセットが完成しました。名前は Shirai Keet (キート) と申します。

コンセプトはアコースティックドラム。
現在、主流とされるマルチマイクを前提としたドラムを「エレアコ」とした場合、アコースティックなドラムセットとは?というコンセプトで開発しました。

宮下ヨシヲさんに作って頂いたKeetのロゴがこちらです。

スクリーンショット 2014-12-22 1.12.00

Keetを作る工場は、予想していた方も多いと思いますが、浜松のNegi Drumsさんにお願いして作って頂きます。

ドラムセットが出来るまでに沢山の試作品、試作から量産できる形に持っていく為のアイデア提供など、とてもお世話になりました。エッジの形状を手仕事で持っていく必要があったり、塗装自体も特殊な塗装方法になっていたり、技術と根気が必要な仕事を素晴らしいレベルでしてくださっています。

現在、Negi Drumsさんは工場の中を公開していません(私も入っていません)し、通常OEMでも工場を公表しないケースが多いことから、Negi Drumsで作っている事を言わなくても良いのでは?と、ご提案頂きましたが、生産して下さる方はとても大切なのでと、ラベルにもお名前を入れさせていただきました。

Keetは、外側から見える所にロゴがありません。
フロントヘッドもシェルのエンブレムもありません。

今のドラムセットやエレキギターでは当たり前にロゴが描いてありますが、バイオリンやクラシックギターは、ブランドロゴを外側に描いてありませんよね?

Keetもアコースティックドラムという事で、外側にブランド名は付けないことにしました。

しかし、クラシックギターのサウンドホールの中にラベルがあるように、ドラムの内側にラベルが付きます。

スクリーンショット 2014-12-22 1.11.47

 ドラムのサイズと深さが記入されます。

*打面ヘッドにはスタンプ職人のKOTAさんが作ってくださるロゴスタンプを使用する予定です。

IMG_4499

プロトタイプ @BLUE NOTE NAGOYA

プロトタイプとパーツ配置や、細かいところでは、バスドラムのウッドフープの内側のエッジのとりかたまで、プロトタイプを使っている方からの意見を取り入れ、完成品にするために沢山の仕様変更をしてきました。アコースティックドラムとしてのドラムキットバランスがとれていれば、マイキングした場合も問題なく使えることも分かりました。

10525662_880650478635114_8725836629543366421_nプロトタイプ@OrangePit 2nd Space

一番大変だったのが塗装です。音が変わることを知っていましたし、自分自身の経験もあると思っていましたが、塗膜が変われば音量までも変わります。予想以上でした。私が想定しているのは20-40人キャパくらいのライブを生音で心地よく…というには音が大きすぎたり、逆に音がやわらかすぎてコシが感じられない仕上げになることもありました。
塗ってみないとわからないですし、塗装には時間がかかります。結局14パターンくらい試したと思います。
完成品の塗装は、しっかりとシェルの表面をパリっと硬くしてやらかなシェルの材料との組み合わせで、程よい輪郭を得る事ができました。

カフェでのライブや、結婚式場、ストリートなどドラムセットを持ち込む場所ではとても役に立つドラムだと思います。

シェルの材料は、高級ではなく、価格は安い部類にはいる木材です。しかし、ドラムシェルを作る為の合板となると、意外と無く、試作中に価格が大幅に上がるというとても困った事態も起きたので、代替の材料を考えたりもしたのですが、価格が上がってもKeetはこの材料で行くと決めました。

バスドラムを持っていただくとわかりますが、とても重量が軽いです。バスドラムで6kg弱。14″x6.5″のブラスのスネアドラムと18″のバスドラムで約5kgと大体同じくらいの重さです。

バスドラム、フロアタム、タムタムは4プライで約5mmです。IMG_2415

柔らかく軽い材なので、ヘッドを外してシェルに力をかけると、たわみます。バスドラムに人が乗ったらシェルが割れると思います。
楽器として普通に使っても大丈夫な耐久性はありますが、乱暴には扱わないでください。重量がかかりすぎるという理由でバスドラムにタムをマウントすることが出来ません。

ドラムヘッドやフープの強度を考えて、「アコースティックドラム」という考え方で、ドラムキットバランスを演奏者が取りやすい楽器を目指しました。特に小さな音からボトムのヘッドが響くという点を大切にして、スティックでのチェックではなく、PromarkのBroom Stickを使ったチェックを最初にするという形になりました。

タムにはタムスタンドが付属します。
軽量で音の減衰もフロアタムとのバランスがちょうどよいのですが、保持性の高さやセッティングの自由度は低いものを付けています。

スネアドラムは4プライのシェルに4プライのレインフォースメントが付いています。KEETSD4
バスドラムとスネアドラムだけで演奏することも想定しているので、タムタムの共鳴が無くてもしっかり深みのあるサウンドが出るスネア。という基準で試し、レインフォースメントを付けた深さ5.75″のスネアドラムになりました。

Keetという名前の由来ですが、プロトタイプ1号機を使っている小寺良太さんから、このドラムの素直に響くキャラクターから、「素直」みたいな感じがあると良いよね。というアイデアを頂き、「素」の語源を調べたら、学術的に正しいかは分からないのですが、「白絹」のような意味があると。そこで白絹でググると白絹病という植物の病気がすぐに出てくるので、これはちょっと…と言葉を変えて、白絹→白糸→生糸と連想していき、きいと→キートという名前になりました。キートと伸ばすのは、白井キートとした場合の画数占いです(笑)

その生糸から連想して宮下さんが作って頂いたラベルの形。
糸巻きの形になっているんです。

スクリーンショット 2014-12-22 1.11.47



このような形でドラムセットを発表出来るとは、
10年前にはまったく想像できていませんでした。
今まで出会った沢山の方のご協力でこのセットを送り出すことが出来ました。
これからも、シライミュージックをよろしくお願いいたします。

Shirai Keet のFacebook ページはこちらです。