ドラムシェルのプライ数

一部、厚い板を蒸して曲げた単板や、板を樽状に組んだステーブシェル、そして、くりぬきという例外もありますが。世の中のほとんどのドラムは合板で出来ています。
合板の板の合わせる数や合わせ方って、音にどんな影響があるのでしょうか。

丸太を桂剥きにして、薄くした板を重ねて2〜3枚重なった状態になってドラム工場に納品されて、その合板を材料に、釜で筒状に成形されて、ドラムシェルというタイコの胴の部分が出来上がります。

この重なった板の枚数を〜プライと表現します。

例えば、7プライのシェルとなった場合、
それが2プライ+3プライ+2プライなのか3プライ+2プライ +2プライなのかその逆なのか、縦目横目の組み合わせを考えると
横 縦 縦 横 縦 縦 横 とか、縦 横 縦 縦 横 縦 横 縦 とか、dwのようにナナメが入ってきたり。

この縦横の組み合わせも何人かのドラムの開発者に話を聞くと、人によって考え方が違ったり。とても興味深いんですよね。

ジョン・グッドさんが説明している動画

僕はジョン・グッドさん大好きで。
彼のみんなに伝わりやすく、わかりやすい形に落としこむ。という姿勢が大好きなんですよね。
ペダルで言えば、dw-5000シリーズのアンダープレートとかデルタベアリングみたいに、見せるべきパーツを赤くしたり、9000シリーズのフローティングカムみたいな動きのわかりやすさ。動きとして大切だけど伝わりにくいスプロケットの大きさとか、スプリング下部の動作はあえて伝える部分としてはカットして、わかりやすいスムースさをきちんと伝えるというデザインは本当に尊敬です。

シェルの話に戻りますね。
プライ数が同じでも目の構成や工法によって音が変わる。
ドラムを整形する釜の接着圧はどのくらいなのか、釜の形状による圧力のかける方向。板のジョイント形状などシェルの製作に関する様々な要因を考えると、プライ数のカタログ表記って意味があるの?っていう感じになりますよね。

dwやSONORはそういう縦目横目の部分をカタログ上でしっかり出しているメーカーだと思いますが、エンドユーザーに伝わるかというとなかなか難しい。*メーカーは伝えたいけどユーザーには伝わりにくいという事があるのです。

プライ数は重さとして捉えるのが良いと思います。
プライ数と一緒に厚さも表記されていることが多いので、シェルの重量の目安にするんです。

例えば、
10PLYなら重いんだなぁと。
4PLYなら軽いんだなぁと。

重ければソリッドでアタックが明確なサウンドに、軽ければアタックよりも圧を感じるサウンドに。

プライ数(重さ)というのは、メイプルだ、マホガニーだ、ブビンガだという材質よりもドラムのキャラクターとして大切な部分かも知れません。
エレキギターで言えばプライ数で、シンラインとレスポールくらいのサウンドの差が表れるような、とても大切な要素だと思います。

厚く重いシェルはヘッドの振動がシェルに逃げず、しっかりヘッドが鳴ってくれる。
軽いシェルはヘッドの振動をシェルに吸わせて素朴な鳴り方をしてくれる。
エッジとラグ間の硬さはラグの位置によっても変化するし、
チューニングでシェルにどれだけ押し付けるかという、ピッチとエッジに押し付ける圧力の関係等、様々な兼ね合いがあって成立するので、スペックから音を想像するのは至難の業です。

SAKAEのトリロジーの3プライ+レインフォースメントの成形を日本工場で復活させているのは本当に凄いです。

レインフォースメントというのは、補強のリングです。
1990年代中頃からかな?6プライ以上の補強が必要ないシェルでも音の輪郭をはっきりさせる為に取り付けられるケースが出てきました。
レインフォースメント

パールはMLの4プライメイプルからMR4プライメイプル+レインフォースメントへの流れ、タマではスタークラシックのサウンドフォーカスリングの登場等、私が高校生の頃に軽いシェルブームがあったのですが、ヴィンテージの3プライシェルなど知る由もない時期だったので、「当時はなんとなく」な受け取り方しかできていなかったです。

例えば、3プライのシェルにレインフォースメントは今の技術でも必要な要素だと思います。僕はレインフォースメントは成形技術の発達により、必要なくなったと勘違いしていましたから。

実際のところは、6プライのソリッドなサウンドに仕上げた結果、補強が必要無かったという感覚ですね。3プライのサウンドが必要になったら、やはりレインフォースメントは必要。
つまり、成形技術としては、まったく違う話だったわけです。
レインフォースメントが無くても成立するところとしては4プライ4mm程度が限界で、しかも、ヘッドを張っている状況じゃないと耐久性として厳しいんじゃないかな?
そういうギリギリスペックのドラムも欲しいですね…。

材質で言えば、バーチシェルといっても、バーチサウンドの代表的なイメージとしてヤマハが出てくるケースが多いのですが、ソナーのバーチはまったく違ったキャラクターになります。そして、同じメーカーのバーチシェルでもプライ数、シェルの厚さによってキャラクターが変わってきます。
これからドラム何買おう…とか考えている方は大変ですよね。

1つのドラムの中に材料がいくつかあるようなケースもあるし。

でも、そのあたりの材質はメーカーがバランスをとった結果だと思えば、あまり考える必要な無いと思っています。
なぜなら、材質が何であるかより、どういう音にしたいかの結果、そういう組み合わせに落ち着いてリリースされたわけなので、すべてを理解する必要は無いです。
「音の印象を持っていれば大丈夫」

カタログのスペックによる勘違いを少なくできる良い時代になりはじめているという感覚を、ここ3〜4年くらい感じているので、試しに文章にしてみました。より勘違いを産む可能性を感じつつも…。文字数やイラスト、動画など制限が無いわけなので、このあたり自分の為にも上手くまとめて行けたらなと思います。
(また、書きなおしたりするとは思いますけど)